セルテートの歴代モデルを比較!ダイワ剛性リールの進化史

ダイワ(DAIWA)のスピニングリールにおいて、「セルテート(CERTATE)」の名は、フラッグシップ(最上位機種)の「イグジスト(EXIST)」が追求する「軽さ」とは対極の、「強さ」と「剛性」の象徴として20年以上にわたり君臨しています。その信頼性は、過酷なソルトウォーターシーンからパワーが求められるバスフィッシングまで、多くのアングラー(釣り人)のスタンダードとなっています。
2004年の初代モデル登場から、2024年の最新モデルに至るまで、セルテートは常にダイワの最先端技術を搭載し、タフなスピニングリールのあり方を示してきました。しかし、その長い歴史の中で、「04」「10」「19」「24」といった年式の違いや、搭載された技術(マグシールド、モノコックボディなど)がどのように進化してきたのか、正確に把握することは容易ではありません。
この記事では、歴代セルテートについて、その中核を成す技術の変遷と、各モデル(04, 10, 13, 16, 19, 24)の特徴を体系的に、かつ明瞭に解説します。
ダイワ「セルテート」とは:剛性を追求するリールの系譜
セルテートとは、ダイワ(グローブライド株式会社)が製造・販売するスピニングリールの中核(コア)を成すモデルです。その最大の使命は、アングラーが安心して大物と対峙できる**「圧倒的な剛性(ごうせい)と耐久性」**を提供することにあります。
2004年、ダイワはリール設計の未来を示す新基準として**「REAL FOUR(リアルフォー)」**というコンセプトを発表しました。これは、「Real Engine(高精度・高耐久なギア)」「Real Control(操作性)」「Real Endurance(耐久性)」「Real Custom(カスタム性)」の4要素を高次元で実現する思想です。
初代「04セルテート」は、このREAL FOURコンセプトを体現するフラッグシップモデルとして誕生しました。高精度で強靭なデジギアを、歪みのない高剛性なアルミ製メタルボディで包み込む設計は、当時のスピニングリールの常識を覆すタフネスを実現し、その後の「剛性のセルテート」というブランドイメージを確立しました。
歴代セルテートの進化史【年式別モデル比較】
セルテートの歴史は、ダイワの基幹技術の進化の歴史そのものです。ここでは、主要な歴代モデルを時系列で解説します。
2004年 04セルテート –「REAL FOUR」の具現化
初代セルテートは、前述の「REAL FOUR」コンセプトを世に問う戦略的なモデルとして登場しました。高剛性アルミボディに、大口径の「デジギア」を搭載。滑らかで力強い巻き上げと、過酷な使用にも耐えうる圧倒的な耐久性を両立し、「タフなリール」の代名詞となりました。このモデルの基本設計が、長きにわたりセルテートの土台となります。
2010年 10セルテート –「マグシールド」初搭載
2代目となる「10セルテート」は、リール史に残る革新技術**「マグシールド(Magsealed)」**を初めて搭載したモデルです。マグシールドとは、磁性を持つオイル(マグオイル)の壁で海水の浸入を防ぐダイワ独自の防水技術です。
リールの回転性能低下の最大の原因であった、ピニオンギア(回転軸)部への塩ガミ(塩の結晶化による固着)や異物の侵入をシャットアウトし、初期の滑らかな回転性能を長期間維持することが可能になりました。
2013年 13セルテート – マグシールドの拡大とZAIONローター
「13セルテート」は、10モデルで確立したマグシールドをさらに進化させました。ピニオンギア部に加え、「マグシールドボールベアリング」をラインローラー部(釣り糸が常に接触し、最も水に濡れやすい部分)に搭載。防水性・耐久性をさらに高めました。
また、ローター(回転する部分)には、軽量かつ高剛性なダイワ独自のカーボン樹脂素材「ZAION(ザイオン)」製のエアローターを採用し、巻き出しの軽さと感度を向上させました。
2016年 16セルテート – 完成度の向上と「ATD」搭載
「16セルテート」は、13モデルの基本性能を踏襲しつつ、各部をブラッシュアップしたモデルです。ドラグシステムが、魚の引きに滑らかに追従し続ける「ATD(オートマチックドラグシステム)」に進化。マグシールドボールベアリングもドライブギア軸両端に追加搭載され、防水・耐久性能がほぼ万全の領域に達しました。従来のボディ構造における「完成形」ともいえる世代です。
2019年 19セルテート –「モノコックボディ」による構造革命
「19セルテート」は、歴代モデルの中で最も大きな構造変革を遂げました。ダイワの次世代設計思想「LT(LIGHT & TOUGH)」コンセプトに基づき、**「モノコックボディ(MQ)」**をアルミ製リールとして初めて採用しました。
モノコックボディとは、従来必要だったボディカバー(ネジで固定する蓋)を廃し、ボディ自体に直接高精度のプレートをねじ込む一体成型構造です。これにより、ボディ内部の容積を最大化でき、従来比で約85%もの大きさとなる大口径の「タフデジギア」を搭載可能になりました。結果として、剛性・パワー・防水性の全てが飛躍的に向上しました。
2024年 24セルテート – モノコックと「エアドライブデザイン」の融合
最新(2025年現在)の「24セルテート」は、19モデルで確立したアルミ製モノコックボディの強靭な基幹構造はそのままに、22イグジストで採用された**「エアドライブデザイン」**を搭載しました。
エアドライブデザインとは、ローター、ベール、スプール、シャフトの4点で構成される、巻き出しの軽さを追求した設計思想です。剛性を維持しつつ、リール前方のユニットを大幅に軽量化することで、19モデルを凌駕する「巻き出しの軽さ」と「操作性」を手に入れました。「剛性」と「軽快な操作性」という相反する要素を、かつてない高次元で両立させたモデルです。
セルテートの核心技術:剛性と防水性の進化
セルテートの進化を理解するには、その歴史を支えてきた3つの核心技術を知る必要があります。
1. 思想の原点「REAL FOUR」
2004年に04セルテートと共に提唱された設計思想です。高精度な駆動系(Real Engine)、高い操作性(Real Control)、高い耐久性(Real Endurance)、高いカスタム性(Real Custom)の4要素。この思想が、タフネスリールとしてのセルテートの方向性を決定づけました。
2. 革命的な防水構造「マグシールド」
2010年に10セルテートで初搭載された技術です。NASA(アメリカ航空宇宙局)が開発した磁性流体を応用し、オイルの壁で海水の浸入を物理的に防ぎます。これにより、スピニングリールの最大の弱点であった「塩ガミ」による回転異音や故障を劇的に減少させました。
3. 剛性の新基準「モノコックボディ (MQ)」
2019年に19セルテートで採用された一体成型ボディ構造です。ボディの蓋(ふた)をなくすことで、ボディの約85%を巨大なギアが占めるという高効率なレイアウトを実現しました。これにより、ギアの支持精度が向上し、負荷がかかった際のたわみが極限まで抑制され、「剛性」と「巻き上げパワー」が飛躍的に向上しました。
セルテートと他機種(イグジスト・ルビアス)との明確な違い
ダイワのラインナップにおいて、セルテートの立ち位置を理解するには、フラッグシップの「イグジスト」と、中核モデルの「ルビアス」との比較が不可欠です。
| 機種名 | ボディ素材 | 主な特徴・コンセプト |
| イグジスト (EXIST) | マグネシウム (MQ) | **「軽さ」**のフラッグシップ。巻き心地の滑らかさと操作性を極限まで追求。 |
| セルテート (CERTATE) | アルミニウム (MQ) | **「剛性」**のコアモデル。アルミボディによる圧倒的なタフネスとパワーが特徴。 |
| ルビアス (LUVIAS) | ZAION (MQ) | **「軽さ」**のコアモデル。カーボン樹脂(ザイオン)による軽量性が特徴。 |
簡単にいえば、ダイワのモノコックボディ採用機は、「軽さ」を追求したイグジスト(マグネシウム)とルビアス(ZAION)、「剛性」を追求した**セルテート(アルミニウム)**という明確な棲み分けがなされています。
中古で狙うべき歴代セルテートの選び方
最新の24セルテートは高性能ですが、中古市場では過去のモデルも高い人気を誇ります。ご自身の目的によって、狙い目のモデルは異なります。
1. 剛性の「新世代」を体感するなら:19セルテート
19セルテートは、「モノコックボディ(MQ)」を初搭載した革命的なモデルです。現行の24モデルと比較しても、心臓部であるボディとギアの基本構造は同一であり、その剛性とパワーは一線級です。24モデルの登場により中古相場が安定してきたため、「新世代の剛性」を最もコストパフォーマンス良く体感したいアングラーにとって、最良の選択肢といえます。
2. 「従来型」の完成形を求めるなら:16セルテート
16セルテートは、04から続いた伝統的なボディ構造(非モノコック)の最終・完成形です。マグシールドによる防水性能も確立されており、トラブルレス性能は非常に高いです。あえてモノコックボディではない、従来型の構造で「完成された信頼性」を求めるアングラーには、16モデルが狙い目です。
3. 歴史的価値と基本性能:04 / 10セルテート
04セルテートや10セルテートは、発売から10年以上が経過しています。04は「REAL FOUR」の原点、10は「マグシールド」の原点として歴史的な価値があります。ただし、マグシールド搭載初期のモデルは、メンテナンス(マグオイルの交換)に専門知識が必要な点や、現代のリールと比べると自重が重い点には注意が必要です。
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まとめ
ダイワ「セルテート」は、2004年の「REAL FOUR」による堅牢なデビューから、2010年の「マグシールド」による防水革命、そして2019年の「モノコックボディ」による剛性革命を経て、常にタフなスピニングリールの最前線を走り続けてきました。
- 04〜16モデル: 伝統的なアルミボディ構造をベースに、マグシールド等で防水・耐久性能を極めた世代。
- 19〜24モデル: モノコックボディを採用し、剛性とパワーを異次元のレベルに引き上げた新世代。
最新の24セルテートは、その新世代の剛性に「エアドライブデザイン」による軽快な操作性を融合させた、現時点での集大成です。歴代モデルの進化の系譜を理解し、ご自身のフィッシングスタイルに最適な「剛性」を選んでいただければ幸いです。
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FAQ(よくある質問)
Q1: 04セルテートや10セルテートは、今でも中古で買う価値はありますか?
A1: はい、価値はあります。04セルテートはシンプルな構造ゆえに耐久性が高く、メンテナンスもしやすい名機として根強い人気があります。10セルテートはマグシールドを初搭載し、防水性能が向上しています。ただし、最新リールと比べると自重が重い点、10モデルはマグシールドのメンテナンスが必要な点は考慮すべきです。
Q2: 19セルテートと24セルテートの最大の違いは何ですか?
A2: 最大の違いは「操作性(巻き出しの軽さ)」です。ボディとギアの根本的な「剛性」はどちらもアルミ製モノコックボディを採用しており、非常に高いレベルで共通しています。24セルテートは、それに加えて「エアドライブデザイン」を採用したことで、リール前方が軽量化され、巻き出しが圧倒的に軽くなっています。
Q3: セルテートとイグジストは、どちらが優れていますか?
A3: 優劣ではなく、目的が異なります。イグジストは「軽さ」と「感度」を最優先したフラッグシップです。一方、セルテートは「剛性」と「パワー」を最優先したコアモデルです。より繊細な操作を求めるならイグジスト、負荷のかかる釣りやタフな使用環境を求めるならセルテートが適しています。
Q4: セルテートの中古相場はどのくらいですか?
A4: 中古相場は、モデルの年式、番手、状態によって大きく変動します。一般的に、19モデル以降のモノコックボディ採用機は高値を維持しています。16モデルや13モデルは、性能と価格のバランスが取れた狙い目の価格帯になってきているといえます。
Q5: セルテートはどんな釣りにおすすめですか?
A5: その高い剛性から、負荷のかかる釣りに幅広くお勧めできます。具体的には、シーバス、ショアジギング、サーフ(ヒラメ・マゴチ)、ロックフィッシュ、大型トラウト、パワーフィネスを多用するバスフィッシングなどに最適です。