軽量・万能リール「メタニウム」の歴代モデルを徹底解説!

シマノ(SHIMANO)のベイトリール(両軸リール)ラインナップにおいて、「メタニウム(Metanium)」は、その時代のアングラー(釣り人)が求める性能を具現化してきた「中核(コア)」モデルです。遠投性能の「アンタレス」、剛性の「カルカッタコンクエスト」に対し、メタニウムは一貫して「軽量性」と「汎用性(バーサタイル性能)」を追求してきました。
その歴史は1992年の「メタニウムXT(通称:赤メタ)」という伝説的なモデルから始まり、Mg(マグネシウム)素材による軽量化時代を経て、近年ではMGLスプールやDC(デジタルコントロールブレーキ)といった革新技術を搭載し、進化を続けています。
しかし、モデルチェンジの歴史が長いゆえに、「歴代モデルの違いが分からない」「07Mgと16MGLはどう違うのか?」「中古で買うならどれが狙い目か?」といった疑問を持つ方も少なくありません。この記事では、メタニウムの歴代モデルについて、その技術的な進化の系譜を体系的に解説します。
シマノ「メタニウム」とは:バス釣りの“中核”を担うリール
メタニウムは、シマノのバスフィッシング用ベイトリールにおいて、常に「軽量・コンパクト」と「高い汎用性」を追求してきたシリーズです。特定の性能に特化したアンタレスやカルカッタコンクエストとは異なり、1台で様々なルアー(5g程度の軽量ルアーから20gを超える巻物まで)を快適に扱うことができる「万能性」を最大の武器としています。
このバランスの良さから、メタニウムは時代を問わず多くのアングラーに選ばれ、シマノのベイトリール技術の進化を体現する「スタンダード機」としての地位を確立しています。
歴代メタニウムの系譜:3つの時代と技術革新
メタニウムの30年以上にわたる歴史は、大きく3つの世代(時代)に分類できます。
第1世代:伝説の始まり「92 メタニウムXT(赤メタ)」
1992年に登場した初代「メタニウムXT(Bantam Metanium XT)」は、その鮮烈な赤いボディカラーから「赤メタ(あかメタ)」の愛称で知られる、伝説的な名機です。当時としては画期的な軽量・コンパクトなボディと、トラブルレスな遠心ブレーキ「SVS」を搭載。その扱いやすさと高い基本性能でバスフィッシングシーンを席巻し、「シマノのベイトリール=高性能」というイメージを決定づけました。
第2世代:「Mg(マグネシウム)」による軽量化の追求
2000年代に入ると、メタニウムはボディ素材に「Mg(マグネシウム)合金」を採用し、さらなる軽量化の時代に突入します。
- 00 メタニウムMg(銀メタ): 初めてボディにマグネシウムを採用したモデル。赤メタの系譜を受け継ぎつつ、大幅な軽量化を実現しました。
- 05 メタニウムXT(青メタ): 00Mgの基本性能を踏襲しつつ、スプール(釣り糸を巻く部分)のブランキング(穴あけ加工)などでキャスト性能を向上させたモデル。青いボディカラーから「青メタ」と呼ばれました。
- 07 メタニウムMg/Mg7(白メタ): 「07(ゼロナナ)」の愛称で知られる、第2世代の集大成モデル。マグネシウムボディをさらに小型化・軽量化し、自重170g(当時)という驚異的な軽さを実現。その軽さと高い操作性から、16メタニウムMGLが登場するまで長期間にわたり一線級で愛用され続けた名機です。
第3世代:「HAGANE」と「MGL」による現代的進化
2013年以降、メタニウムは設計思想「HAGANE(ハガネ)」コンセプト(高剛性な金属ボディと精密冷間鍛造ギア)に基づき、軽量性と剛性の両立を図る現代的な進化を遂げます。
2013年 13メタニウム
「07メタニウムMg」からフルモデルチェンジ。HAGANEボディを採用し剛性を高めつつ、外部ダイヤルでブレーキ調整が可能な「SVSインフィニティ」と、超精密ギア「マイクロモジュールギア」を初搭載。軽量でありながらシルキーな巻き心地と、ブレーキ調整の利便性を手に入れました。
2016年 16メタニウムMGL
「16(イチロク)」は、歴代メタニウムの中でも特に「名機」と評価されるモデルです。その理由は、新開発の低慣性(ていかんせい)スプール「NEWマグナムライトスプール(MGLスプール)」の初搭載にあります。スプール側面に穴をあけるという画期的な設計により、スプールの回転の立ち上がりが飛躍的に向上。それまでメタニウムがやや苦手としていた、7g〜10gクラスの軽量ルアーのキャスト性能が劇的に進化しました。
2020年 20メタニウム
16MGLの基本性能を受け継ぎつつ、ボディ構造に「コアソリッドボディ」を採用。これは、フレームとサイドプレートを一体成型することで、さらなる高剛性化とコンパクト化を両立する技術です。剛性が高まったことで、巻き上げパワーが向上し、よりタフな釣りにも対応できるようになりました。
2023年 23メタニウム
最新(2025年現在)のSVS(遠心)モデルです。20モデルのコアソリッドボディを継承しつつ、アンタレスにも採用されている最新の「MGLスプールIII」を搭載。16モデルで革命を起こしたキャスト性能を、さらに低慣性化することで研ぎ澄ませた、現行のスタンダード機です。
派生モデルの系譜:「メタニウムDC」の歴代モデル
メタニウムには、伝統のSVS(遠心)モデルとは別に、電子制御ブレーキ「DC(デジタルコントロールブレーキ)」を搭載した派生モデルが存在します。
08 メタニウムMgDC
「07メタニウムMg」の軽量マグネシウムボディをベースに、DCブレーキを搭載したモデルです。軽量リールとDCの組み合わせによる、トラブルレスで快適なキャスト性能を提供しました。
15 メタニウムDC
「13メタニウム」のHAGANEボディをベースに、最新(当時)のDCブレーキ**「I-DC5」**を搭載したモデルです。「I-DC5」は、内部ダイヤルでライン(ナイロン/フロロ/PE)を選択し、外部ダイヤルでルアーウエイト(1〜5)を選択するだけで、リールが自動で最適なブレーキ制御を行うシステムです。難しいブレーキ設定が不要で、誰でも安定した遠投性能を発揮できるのが特徴です。
歴代メタニウムの年式見分け方と中古選びのポイント
中古品を選ぶ際や、手持ちのモデルを確認する際に役立つ、簡単な年式の見分け方を解説します。
外観とカラーリングでの簡易見分け方
- 92モデル: 鮮やかな「赤色」(赤メタ)。
- 05モデル: 鮮やかな「青色」(青メタ)。
- 07モデル: 明るい「白色」。
- 13モデル: シルバーと黒のツートン。
- 16モデル: 全体が暗い「ガンメタリック」。
- 20/23モデル: 16に近いガンメタリックだが、より角張った「コアソリッドボディ」の形状が特徴。
中古で狙うべき「名機」モデル
メタニウムはどの世代も高性能ですが、特に中古市場で人気が高く、「狙い目」とされるモデルが存在します。
- 16メタニウムMGL(コストパフォーマンス最強の名機) 「MGLスプール」によるキャスト性能は、現行モデルと比較しても遜色がありません。20/23モデルの登場により中古相場も安定しており、「圧倒的なキャスト性能」と「コストパフォーマンス」を両立させたいアングラーにとって、最良の選択肢の一つです。
- 07メタニウムMg(軽量性の極み) 170gという自重は、現代のリールと比較してもトップクラスの軽さです。マイクロモジュールギアやMGLスプールは搭載していませんが、その軽さがもたらす感度と操作性は今なお一級品であり、「軽さ」を最優先するアングラーから根強い人気があります。
- 15メタニウムDC(DC入門の最適解) 難しい設定が不要な「I-DC5」を搭載しており、「DCブレーキを試してみたい」という方に最適です。中古価格も手頃で、トラブルレス性能を求めるアングラーにお勧めです。
不要になった歴代メタニウムの売却について
メタニウムシリーズは、シマノのベイトリールの中でも最も需要が高いモデルの一つです。そのため、中古市場での資産価値が非常に高く、歴代モデル(特に「赤メタ」や「07Mg」、「16MGL」)は根強い人気を誇ります。
状態が悪いものや、ゴリ感(ギアの摩耗による異音)があるものでも、内部の純正パーツ(ギア、スプール、ハンドルなど)自体に価値があるため、「部品取り」としての需要が確立されています。
もし新しいモデルへの買い替えや、釣具の整理でご不要になったメタニウムをお持ちの場合、その価値を正確に査定できる釣具買取専門店タックルラウンジにご相談ください。
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まとめ
シマノ「メタニウム」は、1992年の伝説的な「赤メタ」から始まり、一貫して「軽量・万能」というバスフィッシングの王道を歩んできました。
- 第1世代 (92): 「赤メタ」が軽量リールの伝説を確立。
- 第2世代 (00, 05, 07): 「Mg(マグネシウム)」素材で軽量化を極め、07Mgで頂点に。
- 第3世代 (13, 16, 20, 23): 「HAGANE」ボディをベースに、「SVSインフィニティ」「マイクロモジュールギア」を搭載。
- 16MGLでキャスト性能が革命的に進化。
- 20/23で「コアソリッドボディ」による剛性を獲得。
- 派生モデル (DC): 「DCブレーキ」によるトラブルレスな遠投性能を提供。
メタニウムは、どの時代においてもアングラーの要求に応える「万能機」であり続けています。この記事が、皆様のメタニウム選び、またはお手持ちのモデルへの理解を深める一助となれば幸いです。
FAQ(よくある質問)
Q1: メタニウムとアンタレス、カルカッタコンクエストとの違いは何ですか?
A1: 「アンタレス」が「遠投性能」に特化したフラッグシップ、「カルカッタコンクエスト」が「剛性・巻き心地」に特化した円形リールであるのに対し、「メタニウム」は「軽量性・汎用性」に優れたロープロファイル(薄型)リールです。1台で幅広い釣りをこなせるのがメタニウムの最大の特徴です。
Q2: 16メタニウムMGLはなぜ「名機」と呼ばれるのですか?
A2: 「MGLスプール」の搭載により、それまでのメタニウムが苦手としていた軽量ルアーのキャスト性能が劇的に向上したためです。7g〜20g超まで、これ1台で全てを快適にこなせるという、メタニウムの「万能性」を決定づけたモデルとして高く評価されています。
Q3: 20メタニウムと23メタニウムの最大の違いは何ですか?
A3: どちらも「コアソリッドボディ」を採用した高剛性モデルですが、最大の違いは「スプール」です。23メタニウムは、より低慣性化を追求した最新の「MGLスプールIII」を搭載しており、キャストの抜けの良さや、さらに軽量なルアーへの対応力が向上しています。
Q4: 92年の「赤メタ」は今でも実戦で使えますか?
A4: はい、使用可能です。そのシンプルな構造ゆえの耐久性は高く、今でも愛用者がいます。ただし、最新モデルと比べると自重が重く、ブレーキ調整が内部のみ、飛距離性能も劣る点は事実です。ヴィンテージリールとしての趣味的な側面も強いモデルです。
Q5: メタニウムのSVS(遠心)モデルとDCモデル、どちらが良いですか?
A5: ブレーキ設定を細かく調整し、キャストフィール(投げ心地)を追求したい上級者には「SVS(MGLスプール)」が適しています。一方、難しいブレーキ設定はリールに任せ、逆風下でもバックラッシュ(ライントラブル)を気にせず釣りに集中したい方には「DCモデル」がお勧めです。