釣りリールの種類は?選び方と番手の見方を徹底解説

釣りを始める際、または新たな釣りに挑戦する際に、多くの人が最初に悩むのが「リール選び」です。釣具店には「スピニングリール」「ベイトリール」をはじめ、多種多様な形状と価格のリールが並んでおり、「どれが自分のやりたい釣りに合っているのか」「スペック表の数字や記号(番手・ギア比)の意味が分からない」といった疑問を持つのは当然のことです。
リールは、釣り糸(ライン)を巻き取り、魚とのやり取り(ファイト)を行うための、釣りにおいて最も重要な道具の一つです。それぞれの種類には明確な特性と、適した釣りのジャンル(海釣り、バス釣り、渓流釣りなど)があります。
この記事では、釣りリール(主にルアーフィッシングやエサ釣りで使用されるもの)の主要な種類について、その構造的な特徴、メリット・デメリット、そして適した釣りを体系的に解説します。さらに、リール選びの鍵となる「番手(サイズ)」や「ギア比」の選び方についても詳しく説明し、皆様のリール選びをサポートします。
釣りリールは大きく分けて5種類。初心者は「スピニング」から
釣りに使われるリールは、その構造や用途によって細かく分類されますが、主要な種類は以下の5つに大別されます。
- スピニングリール: 最も汎用性が高く、トラブルが少ない万能型。
- ベイトリール(ベイトキャスティングリール): パワーがあり、正確なキャスト(投げること)が得意な上級者向け。
- 両軸リール(カウンター付きリール): 主に船釣りで使われ、水深(タナ)を正確に把握できる。
- レバーブレーキリール: 磯釣り(グレ・チヌ)に特化し、ライン操作に優れる。
- 電動リール: 深海や大物釣りで、モーターの力で巻き上げる。
これから釣りを始める初心者が最初の一台を選ぶ場合、圧倒的に「スピニングリール」をお勧めします。構造がシンプルで、キャスト時のライントラブル(バックラッシュなど)が極めて少なく、エサ釣りからルアーフィッシングまで、あらゆる釣りに対応できるためです。
スピニングリール:万能型でトラブルレス
スピニングリールは、現代の釣りにおいて最も普及しているリールです。ロッド(竿)の下側に取り付けて使用します。
構造と特徴
スプール(釣り糸を巻く部分)が固定されており、キャスト時にはスプールからラインが螺旋(らせん)状に放出されます。巻き取る際は、「ベール」と呼ばれる針金状のアームが回転し、ラインローラーを通じて糸を巻き取ります。
メリット
- トラブルレス性能: 構造上、ベイトリール特有の「バックラッシュ」(※後述)という致命的なライントラブルがほとんど発生しません。
- 遠投性能: 軽量なルアーや仕掛けでも、空気抵抗だけでラインが放出されるため、遠くまで飛ばしやすいのが特徴です。
- ドラグ性能: ドラグ(ラインを送り出す機構)の調整が容易で、魚の急な引きにも滑らかに対応できます。
デメリット
- 巻き上げパワー: 構造上、ベイトリールと比較して巻き上げパワーがやや劣るとされています。
- 太糸への非対応: 太いライン(釣り糸)を巻くと、スプールでの糸グセが強くなり、トラブルの原因になる場合があります。
主な用途
サビキ釣り、投げ釣り、ウキフカセ釣りといったエサ釣り全般から、アジング、メバリング、エギング、シーバス、バス釣り、渓流釣りまで、ほぼ全てのジャンルの釣りに対応可能です。
ベイトリール(ベイトキャスティングリール):パワーと正確性
ベイトリールは、ロッドの上側に取り付けて使用するリールです。特にバス釣りで多用されます。
構造と特徴
キャストする際、スプール自体が回転してラインを送り出します。巻き取る際もスプールが回転して直接ラインを巻き取るため、巻き上げパワーが非常に強いのが特徴です。ブレーキシステム(マグネット式または遠心式)を搭載し、キャスト時のスプールの回転速度を制御します。
メリット
- 高い巻き上げパワー: ギアとハンドルが直結に近い構造のため、重いルアーの操作や、大型魚との強引なファイト(やり取り)に適しています。
- 正確なキャスト(キャスタビリティ): スプールの回転を親指(サミング)で直接コントロールできるため、狙ったポイントへ正確にルアーを落とし込むことができます。
- 太糸に強い: 太いラインを巻いてもトラブルが起きにくく、障害物が多い場所での釣りに向いています。
デメリット
- バックラッシュのリスク: キャスト時に、ルアーの飛ぶ速度よりもスプールの回転が上回ると、ラインがスプール上で大混乱する「バックラッシュ」というトラブルが発生します。これを防ぐにはブレーキ設定とサミングの習熟(練習)が必要です。
- 軽量ルアーのキャストが難しい: 軽いルアーではスプールを回転させる力が足りず、飛距離が出にくい傾向があります(※近年はベイトフィネス専用機で克服されています)。
主な用途
バス釣り(特に障害物周りや重いルアー)、ロックフィッシュ、シーバス(ビッグベイト)、ナマズ釣り、渓流ベイトフィネス、船釣り全般。
両軸リール(カウンター付きリール):船釣りのスタンダード
両軸リールは、ベイトリールとよく似た構造で、ロッドの上に取り付けます。特に船釣りにおいて、ベイトリールよりも大型で、特殊な機能を付加されたモデルを指すことが多いです。
構造と特徴
基本的な構造はベイトリールと同じですが、船釣りで最も重要な「水深(タナ)」を正確に把握するため、「デジタルカウンター」を搭載したモデルが主流です。ベイトリールのように遠投する(キャスティング)ことは想定されておらず、仕掛けを真下に落とす「バーチカル(垂直)」な釣りに特化しています。
メリット
- 正確なタナ取り: カウンターによって「今、何メートル水中に仕掛けがあるか」がデジタル表示されるため、魚がいる層を正確に狙うことができます。
- 巻き上げパワー: ベイトリール同様、パワフルな巻き上げが可能です。
デメリット
- キャスティング(遠投)に不向き: 遠投用に設計されていないため、投げ釣りには使用できません。
- 汎用性の低さ: ほぼ船釣り専用(またはイカダ釣り)のリールです。
主な用途
船からのエサ釣り全般(アジ、サバ、イサキなど)、タイラバ、イカメタル、タチウオジギングなど、水深の把握が重要な船釣り全般。
その他の専門リール(レバーブレーキ・電動・フライ)
上記3種類以外に、特定の釣りに高度に特化したリールが存在します。
レバーブレーキ(LB)リール
外観はスピニングリールと似ていますが、リール本体に「レバー」が付いています。このレバーを操作することで、瞬時にラインを逆回転させたり(ラインを出す)、止めたりすることができます。主に磯の上物釣り(グレやチヌ)で、魚の急な突っ込みに対応し、ラインブレイク(糸切れ)を防ぐために使用されます。
電動リール
モーターとバッテリーを内蔵(または外部接続)し、スイッチ一つで強力にラインを巻き上げることができるリールです。水深100mを超えるような深海釣りや、大型の青物・イカ釣りなど、手巻きでは体力的負担が大きい釣りに使用されます。
フライリール
「フライフィッシング」という西洋式の毛針釣り専用のリールです。構造は非常にシンプルで、ラインを収納しておく「糸巻き」としての役割が主であり、他のリールのように遠投する機能はありません。
スピンキャストリール
スピニングリールとベイトリールの中間的な存在です。ロッドの上側に装着しますが、構造はスピニングリールに近く、ボタンを押すだけでキャストでき、バックラッシュが起きません。初心者や子供向けとして使われることがあります。
リールの選び方①:「番手(サイズ)」の意味と目安
リール選びで最も重要なのが「番手(サイズ)」です。番手は「1000番」「2500番」「C3000番」のように数字で表され、この数字が小さいほど小型・軽量で、大きいほど大型・パワフルになります。
「番手(番号)」とはリールの大きさ(糸巻量)
番手は、主に「スプール(釣り糸を巻く部分)の大きさ=糸巻量(ラインキャパシティ)」を示しています。例えば、シマノの2500番なら「ナイロンラインの2.5号(約10lb)を150m巻ける」というのがおおよその基準です。
番手が大きいリールは、ボディやギアも大型化するため、巻き上げパワーや耐久性も高くなりますが、その分、リール自体の重量(自重)は重くなります。
シマノ・ダイワの番手の見方(記号の意味)
シマノ(SHIMANO)とダイワ(DAIWA)の2大メーカーでは、番手の基準はほぼ共通ですが、数字の後につくアルファベットの記号に違いがあります。
【代表的な記号の意味】
- C (シマノ): コンパクトボディの略。ワンランク下のサイズのボディに、その番手のスプールを搭載したモデル。(例: C3000 = 2500番のボディ + 3000番のスプール)
- S (シマノ) / SS (ダイワ): シャロースプールの略。スプールの溝が浅く、細いライン(PEラインなど)を少量巻くのに適しています。
- DH (共通): ダブルハンドルの略。
- LT (ダイワ): 「Light Tough(ライトタフ)」の略。ダイワの次世代スピニングリールの設計思想を示す記号です。
【万能番手】最初の一台は「2500番〜3000番」
もし、釣りのジャンルを特定せず、「最初の一台」として万能なリールを選ぶのであれば、**スピニングリールの「2500番」または「3000番」**をお勧めします。
これらのサイズは、アジ・メバルなどのライトゲームから、シーバス、エギング、バス釣り、そして防波堤からのエサ釣りまで、非常に幅広く対応できる「中核」となるサイズです。
釣り方・魚種別のおすすめ番手目安(スピニングリール)
| 番手 | 主な対象魚・釣り方 |
| 1000〜2000番 | アジング、メバリング、渓流トラウト(エリアトラウト) |
| 2500〜3000番 | 【万能】 バス釣り、シーバス、エギング、チヌ、防波堤のエサ釣り |
| 4000〜5000番 | サーフ(ヒラメ・マゴチ)、ライトショアジギング、投げ釣り |
| 6000番以上 | ショアジギング(大型青物)、オフショア(船)のキャスティング |
リールの選び方②:「ギア比」の種類と特徴
「ギア比」とは、ハンドルを1回転させたときに、ローター(またはスプール)が何回転するかを示す比率です。リールの巻き取り速度とパワーに直結します。
パワーギア(PG / ローギア)
- 特徴: ギア比が低い(例: 4.8:1)。ハンドル1回転の巻き取り量が少ない。
- メリット: 巻き上げパワーが非常に強い。ルアーや仕掛けをゆっくりと一定速度で巻くのが得意。
- 適した釣り: ジギング(スロー系)、タイラバ、大物とのファイト。
ノーマルギア
- 特徴: パワーとスピードのバランスが取れた標準的なギア比。
- メリット: あらゆる釣りに対応できる汎用性が高い。
- 適した釣り: ほとんどの釣り(特にこだわりがなければノーマルが基本)。
ハイギア(HG / XG)
- 特徴: ギア比が高い(例: 6.2:1)。ハンドル1回転の巻き取り量が多い。シマノではHG(ハイギア)、XG(エクストラハイギア)と表記されます。
- メリット: ルアーや仕掛けを素早く回収できる(手返しが良い)。ラインのたるみを素早く巻き取れる。
- 適した釣り: シーバス、バス釣り(ルアーを撃っていく釣り)、ショアジギング。
初心者の方は、まず「ノーマルギア」を選ぶか、汎用性の高い「ハイギア(HG)」を選ぶのが一般的です。
中古・不要なリールの処分方法
釣りを続けていくと、新しいモデルへの買い替えや、釣りのスタイルの変更で、使わなくなるリールが出てくることがあります。リールは精密機械であり、人気モデル(シマノのステラ、ダイワのソルティガなど)は中古市場でも高い価値が維持されます。
もし不要になったリールの処分に困った場合は、ごみとして廃棄する前に、釣具専門の買取サービスを利用することをお勧めします。
釣具買取専門店タックルラウンジでは、スピニングリール、ベイトリール、電動リールなど、あらゆる種類のリールの専門知識を持ったスタッフが、お客様の大切な釣具を丁寧に査定いたします。
まとめ
釣りリールは、アングラーの目的やスタイルに合わせて、多種多様に進化してきました。
- スピニングリール: トラブルが少なく、遠投性能に優れた万能型。初心者に最適。
- ベイトリール: パワーと正確性に優れるが、「バックラッシュ」の習熟が必要な上級者向け。
- 両軸リール: 船釣りで「タナ」を把握するためのカウンター付きが主流。
- 選び方の基準: まずは「番手(サイズ)」でリールの大きさを決め、次に「ギア比」で巻き取り速度とパワーを選ぶ。
- 初心者の一台: **スピニングリールの「2500番〜3000番」の「ノーマルギア」または「ハイギア(HG)」**が、最も汎用性が高く、多くの釣りをカバーできる推奨モデルです。
この記事で解説した各リールの特徴を理解し、ご自身のやりたい釣り(バス釣り、海釣り、渓流釣りなど)に最適な一台を見つけて、快適なフィッシングライフをお楽しみください。
リールの買い替えや整理をご検討の際は、釣具買取専門店タックルラウンジの無料査定をご利用ください。LINEで写真を送るだけのかんたん査定も承っております。
FAQ(よくある質問)
Q1: ベイトリールの使い方は難しいですか? 初心者には無理ですか?
A1: はい、スピニングリールと比較すると「キャスト(投げる)こと」の難易度は格段に上がります。「バックラッシュ」というライントラブルを避けるためのブレーキ設定と、親指でスプールを制御する「サミング」という技術の習得が必須です。しかし、バス釣りなど特定の釣りではメリットが大きいため、練習する価値は十分にあります。
Q2: ベイトリールにはどんな種類がありますか?
A2: ベイトリールは、ブレーキシステムによって「マグネットブレーキ(外部ダイヤルで調整が容易)」と「遠心ブレーキ(SVSなど、内部のブレーキシューで調整)」に大別されます。また、スプールの形状によって、標準的なもの、太糸を多く巻ける「深溝スプール」、軽量ルアー用の「ベイトフィネススプール」などの種類があります。
Q3: スピニングリールの「万能番手」は具体的に何番ですか?
A3: シマノ・ダイワ共通で「2500番」または「3000番」(シマノのC3000番含む)が、最も汎用性が高い「万能番手」とされています。防波堤でのエサ釣り、シーバス、エギング、バス釣り、ライトな投げ釣りまで、幅広く対応可能です。
Q4: リールスペック表の「C3000HG」という記号の意味を教えてください。
A4: これはシマノの表記で、「C=コンパクトボディ(2500番のボディ)」に「3000=3000番サイズの標準スプール」を搭載し、「HG=ハイギア」仕様であること(巻き取りが速いモデル)を示しています。軽量でありながら糸巻量を確保した、ルアーフィッシングで人気の仕様です。
Q5: 投げ釣り(サーフ)にはどの種類のリールを選べば良いですか?
A5: スピニングリールの一種である「投げ釣り専用リール」をお勧めします。これらは、スプールの直径が大きく、ストローク(上下動の幅)が長い「ロングストロークスプール」を搭載しており、ラインを効率よく放出させて飛距離を最大限に伸ばすことに特化しています。