バス釣り仕掛け(リグ)完全ガイド!種類と使い分けの基本

バスフィッシング(バス釣り)の世界では、ルアーと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「仕掛け」、すなわち「リグ (Rig)」です。特に、ソフトルアー(ワーム)を使う場合、フック(釣り針)やシンカー(オモリ)をどのように組み合わせるか(=リグるか)で、ルアーのアクション、沈む速度、根掛かり(障害物に引っかかること)回避性能が全く変わり、釣果に直結します。
釣具店には「テキサスリグ」「ダウンショットリグ」「ノーシンカーリグ」など、様々な名前のリグが存在し、初心者にとっては「何が違うのか」「どうやって作るのか」「いつ使えばいいのか」と、混乱してしまうかもしれません。
この記事では、バス釣りで使われる主要なリグ(仕掛け)について、その基本的な構造、作り方、そして最も重要な「使い分け」の考え方を、初心者にも分かりやすく体系的に解説します。
バス釣りにおける「リグ(仕掛け)」とは?
バス釣りにおける「リグ」とは、主にソフトルアー(ワーム)を魚にアピールし、フッキング(針掛かりさせること)させるための、フック(釣り針)、シンカー(オモリ)、そしてワーム本体の組み合わせ全体を指します。
ハードルアー(プラグなど)がそれ自体で完成された機能を持つことが多いのに対し、ソフトルアーはリグを組むことで初めてその能力を発揮します。リグは、ワームを目的の深さ(レンジ)まで沈めたり、特定のアクション(動き)を加えたり、根掛かりを防いだりといった、戦略的な役割を担っています。
リグを構成する基本パーツ
様々なリグが存在しますが、それらを構成する基本的なパーツ(部品)は共通しています。
- フック(釣り針): ワームを装着し、バスの口に掛けるための針です。
- オフセットフック: 針先をワームのボディに隠すことができ、根掛かり回避性能が高い。テキサスリグなどで多用されます。
- ストレートフック: 針先が露出するタイプ。フッキング性能が高いですが、根掛かりしやすいです。
- マス針 / ドロップショットフック: ダウンショットリグなど、ワームを水平姿勢に保ちたい時に使われます。
- シンカー(オモリ): リグを沈めたり、飛距離を出したりするためのオモリです。
- バレットシンカー: 弾丸型で、すり抜け性能が高い。テキサスリグに使われます。
- ドロップショットシンカー: 涙滴型や棒状で、ラインに簡単に取り付けられる。ダウンショットリグに使われます。
- ネイルシンカー: 釘(ネイル)のような形状で、ワームに直接埋め込んで使用します。ネコリグなどに使われます。
- スプリットショット / ガン玉: 小さなオモリで、ラインに直接挟んで固定します。スプリットショットリグに使われます。
- (その他)スイベル(ヨリモドシ): ライン(釣り糸)のヨレを防いだり、リーダー(先糸)とメインラインを接続したりする金具です。キャロライナリグなどで使用されます。
【初心者必修】まず覚えるべき基本リグ3選
数あるリグの中から、初心者が最初にマスターすべき、最も汎用性が高く使用頻度の高いリグを3つ紹介します。これらを覚えれば、ほとんどの状況に対応できます。
1. テキサスリグ (Texas Rig)
- 特徴: 根掛かり回避性能が非常に高く、カバー(障害物)撃ちの定番リグ。
- 必要なパーツ: オフセットフック、バレットシンカー、(必要に応じて)シンカーストッパー
- 作り方:
- ラインにバレットシンカーを通します。(※シンカーを固定したい場合は、シンカーの上にストッパーを通す)
- ラインの先端にオフセットフックを結びます。
- オフセットフックにワームを装着し、針先をワームのボディに軽く埋め込みます。
- 使い方: アシや倒木、ウィード(水草)など、根掛かりしやすいカバーの中に直接投入(撃ち込む)して使います。底まで沈めた後、竿先でチョンチョンと動かしたり、ズルズルと底を引いたりして誘います。
2. ダウンショットリグ (Down Shot Rig)
- 特徴: ワームを常に底から少し浮かせた状態で、一点で集中的に誘うことができる「食わせ」能力の高いリグ。
- 必要なパーツ: マス針(または専用フック)、ドロップショットシンカー
- 作り方:
- ラインの途中にマス針を結びます。(※結び方はパロマーノットなどが一般的)
- 針を結んだラインの先端(リーダー部分、10cm〜30cm程度)に、ドロップショットシンカーを取り付けます。
- 針にワームをチョン掛け(ワームの頭部に針を少しだけ刺す)します。
- 使い方: 底まで沈めた後、ラインを張った状態で竿先を小刻みに震わせ(シェイク)、ワームを一点で漂わせるように誘います。活性が低い時や、特定の場所(ピンスポット)にバスがいると分かっている時に非常に有効です。
3. ノーシンカーリグ / ウエイトレスリグ (No Sinker Rig / Weightless Rig)
- 特徴: シンカー(オモリ)を使わず、ワームとフックだけで構成される最もシンプルなリグ。ワーム本来の動きと、ゆっくりとした自然な沈下(フォール)でバスを誘います。
- 必要なパーツ: オフセットフック(またはマス針)、ワーム
- 作り方:
- ラインの先端にフックを結びます。
- フックにワームを装着します。(オフセットフックならテキサスリグ同様に、マス針ならチョン掛けなど)
- 使い方: 浅い場所(シャロー)や、水面直下をゆっくり誘いたい時に使います。キャスト後、ラインを張らず緩めずの状態で、ワームが自重でユラユラと沈んでいく動き(フォール)で誘うのが基本です。
その他の代表的なリグとその特徴
基本リグ3選に加え、覚えておくと戦略の幅が広がる代表的なリグを紹介します。
- ジグヘッドリグ (Jig Head Rig): シンカーとフックが一体になった「ジグヘッド」にワームを装着するシンプルなリグ。投げて巻くだけ(スイミング)でも、底をコツコツと叩く(ボトムバンピング)でも使えます。
- スプリットショットリグ (Split Shot Rig): フックから少し離れた(15cm〜50cm程度)ライン上に、小さなガン玉やスプリットショットシンカーを挟んで固定するリグ。ノーシンカーより少し飛距離を出したい、少しだけ早く沈めたい、でも自然に誘いたい、という時に有効です。
- キャロライナリグ (Carolina Rig): ラインの途中に重めのシンカー(中通しオモリなど)とスイベルを付け、スイベルからリーダー(30cm〜1m程度)を介してフックとワームを接続するリグ。広範囲の底をズル引きして探るのに適しており、ワームがシンカーから離れているため、より自然な動きで誘えます。
- ネコリグ (Neko Rig): ストレートワームの頭部にネイルシンカーを埋め込み、ワームの胴体にマス針を横向きに刺す(ワッキー掛け)リグ。底でワームが立ち上がり、竿先で操作すると底をコンコンと叩くような独特のアクションでバスを誘います。
リグの使い分け:状況に応じた選択の考え方
どのリグを選択するかは、「バスがどこにいるか」「バスが何を捕食しているか」「どのような状況か」によって判断します。
- カバー(障害物)を攻めたい: 根掛かり回避性能が高い**「テキサスリグ」**。
- 底にいるバスをじっくり誘いたい: 一点シェイクが得意な**「ダウンショットリグ」。底を叩くアピールなら「ネコリグ」**。
- 浅い場所や、ゆっくり見せて食わせたい: 自然なフォールが武器の**「ノーシンカーリグ」**。
- 中層を巻いて広範囲を探りたい: 手軽でアピール力もある**「ジグヘッドリグ(スイミング)」**。
- 広範囲の底を探りたい: ズル引きが得意な**「キャロライナリグ」**。
- 軽いシンカーで自然に、でも少し飛距離も欲しい: 「スプリットショットリグ」。
これらはあくまで基本です。フィールドの状況(水深、流れ、底質)、バスの活性、ベイトフィッシュ(バスの餌となる小魚)の種類などを考慮して、最適なリグを選択していくことが、バス釣りの醍醐味であり、上達への道です。
リグとタックル(ロッド・リール・ライン)の適切な組み合わせ
リグの効果を最大限に引き出すには、適切なタックル(ロッド、リール、ライン)との組み合わせが重要です。
- 軽いリグ(ノーシンカー、ダウンショット、軽量ジグヘッド、ネコリグ、スプリットショット)には:
- タックル: スピニングタックル
- ライン: フロロカーボン 3 lb 〜 6 lb
- ロッド: L(ライト)〜 ML(ミディアムライト)パワーのスピニングロッド
- 重いリグ(テキサスリグ、キャロライナリグ、ラバージグ、重めのネコリグ)には:
- タックル: ベイトタックル
- ライン: フロロカーボン 10 lb 〜 16 lb
- ロッド: M(ミディアム)〜 H(ヘビー)パワーのベイトロッド
「最強リグ」は存在するのか?
「バス釣りリグ 最強」といったキーワードで検索されることがありますが、結論から言えば、あらゆる状況で最強とされる万能なリグは存在しません。
テキサスリグはカバー攻めでは最強クラスですが、オープンウォーターの深場ではダウンショットリグの方が有効な場合が多いです。ノーシンカーリグは食わせ能力が高いですが、風が強い日や深場では使い物になりません。
真の「最強」とは、その時々のフィールド状況やバスの状態を的確に読み取り、**最も適したリグを選択できるアングラーの「引き出しの多さ」と「判断力」**にあると言えるでしょう。
不要になったシンカーやフックの処分
リグを組む際に余ったシンカー(特に鉛製)や、錆びて使えなくなったフックは、適切に処分する必要があります。
- フック(釣り針): そのまま捨てると収集作業員が怪我をするため非常に危険です。フタ付きの空き瓶や缶などに入れ、テープで密閉し、「キケン」と明記して自治体のルール(不燃ゴミなど)に従って捨ててください。
- シンカー(オモリ): 特に鉛は環境への影響が懸念されます。自治体のルール(不燃ゴミや金属ゴミなど)に従うか、釣具店に設置されている回収ボックスを利用するのが望ましいです。
釣具の整理で不要になったワーム、フック、シンカー、あるいはリールやロッドがあれば、釣具買取専門店タックルライオンジの買取査定をご利用ください。
まとめ
バス釣りの「リグ(仕掛け)」は、ソフトルアー(ワーム)の能力を最大限に引き出し、バスを釣るための重要な戦略要素です。
- 基本: リグはフック、シンカー、ワームの組み合わせ。
- 初心者必修リグ:
- テキサスリグ: カバー最強、根掛かり回避。
- ダウンショットリグ: 一点シェイクで食わせる。
- ノーシンカーリグ: 自然なフォールで誘う。
- 使い分け: 攻めたい場所(カバー、底、中層)、状況(風、水深、活性)に応じて最適なリグを選択する。
- タックル: 軽いリグはスピニング、重いリグはベイトが基本。
まずは基本となる3つのリグ(テキサス、ダウンショット、ノーシンカー)を確実にマスターし、そこからジグヘッドやキャロライナなど、他のリグへとステップアップしていくことで、あらゆる状況に対応できる引き出しの多いアングラーを目指しましょう。
FAQ(よくある質問)
Q1: バス釣り初心者です。リグを作るのが難しそうです…
A1: 最初は難しく感じるかもしれませんが、今回紹介した基本リグ3選(テキサス、ダウンショット、ノーシンカー)は、比較的簡単に作ることができます。特にノーシンカーリグは、フックにワームを付けるだけです。まずは簡単なものから試してみましょう。結び方(ノット)も、最初は簡単な「クリンチノット」や「ユニノット」を一つ覚えれば十分です。
Q2: ワームにフックを刺すのが上手くいきません。コツはありますか?
A2: オフセットフックをテキサスリグなどで真っ直ぐ刺すコツは、「①最初に針先を入れる位置」「②針先を出す位置」「③針先を隠す位置」の3点を、フックをワームにあてがいながら事前にイメージすることです。焦らず、ワームが曲がらないようにゆっくり刺す練習をしてみてください。
Q3: 色々なリグがありますが、結局どれが一番釣れますか?
A3: 前述の通り、「一番釣れるリグ」というものは存在しません。その日のバスの活性や、いる場所(カバーの中、底、中層など)によって、最も効果的なリグは常に変わります。大切なのは、それぞれのリグの特徴(得意なこと・苦手なこと)を理解し、状況に合わせて使い分けることです。
Q4: テキサスリグのシンカーの重さは、どうやって選べば良いですか?
A4: 基本は「底が取れる範囲で、できるだけ軽いシンカー」を選びます。軽い方が根掛かりしにくく、ワームのアクションも自然になります。目安として、水深3m程度までなら3.5g(1/8oz)〜5g(3/16oz)、それ以上の深場や風が強い場合は7g(1/4oz)〜10g(3/8oz)程度を基準に調整します。
Q5: ダウンショットリグのリーダー(シンカーまでの糸)の長さは、どのくらいが良いですか?
A5: 底からどれだけワームを浮かせたいかで調整します。基本は15cm〜20cm程度です。活性が低く、底べったりにバスがいると感じる場合は10cm以下に短くしたり、ウィード(水草)の上を漂わせたい場合は30cm以上に長くしたりします。