シーバスの釣り方完全ガイド！ルアーと餌釣りの基礎から季節別攻略法まで
シーバス（スズキ）は、身近な港湾部や河川でメーター級の大物が狙えることから、ソルトルアーフィッシングで最も人気のあるターゲットの一つです。しかし、闇雲にルアーを投げてもなかなか釣れず、「シーバスは難しい」と感じている初心者も少なくありません。
シーバスを釣るために必要なのは、運ではなく「論理」です。魚の習性を理解し、適切な場所、時間、そして釣り方を選択すれば、釣果は確実に近づきます。
本記事では、現在の主流である「ルアー釣り」のテクニックを中心に、手堅く釣れる「餌釣り」の方法や、季節ごとの攻略パターンを体系的に解説します。
ルアーか餌か？シーバスを狙う2つのアプローチ
シーバスの釣り方は大きく分けて「ルアーフィッシング」と「餌釣り」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分のスタイルに合った方法を選びましょう。
1. ルアーフィッシング（疑似餌）
プラスチックや金属で作られた疑似餌を操作して食わせる、現在最もポピュラーなスタイルです。
- 特徴: 手が汚れず、短時間で手軽に楽しめるゲーム性の高さが魅力です。
- 求められること: ルアーを本物の餌に見せるための操作技術や、状況に合わせたルアー選択（マッチ・ザ・ベイト）が釣果を左右します。
2. 餌釣り（電気ウキ・ブッコミ）
イソメや小魚などの生き餌を使用するスタイルです。
- 特徴: 本物の餌を使うため、魚の食いつきが非常に良く、ルアーで反応しない魚も口を使います。特に夜間の「電気ウキ釣り」や、足元に落とす「ブッコミ釣り」は初心者でも高確率で釣果が望めます。
- 求められること: 生き餌の確保と鮮度管理が必要です。
【ルアー編】シーバスを釣るための基本テクニック
ルアーでシーバスを釣るためには、複雑なロッドアクションよりも、以下の3つの要素を意識することが重要です。
1. レンジ（泳層）のコントロール
シーバス釣りにおいて最も重要なのが「レンジ（深さ）」です。シーバスは自分より上を通る獲物を捕食する傾向があるため、基本的には表層から順に下のレンジへと探っていきます。いきなり底（ボトム）を探ると、魚にラインを見せて警戒させてしまうため、以下の順序を守ることが推奨されます。
- トップ・サブサーフェイス: 水面〜水面直下（0〜30cm）
- ミドルレンジ: 中層（50cm〜100cm）
- ボトム: 底付近（100cm〜）
2. リトリーブスピード（巻く速さ）
昼と夜で適切な巻き速度が異なります。
- ナイトゲーム（夜）: **「スローリトリーブ（ゆっくり巻く）」**が基本です。夜間、シーバスは側線（波動を感じる器官）を使って餌を探しているため、ゆっくりとルアーを見せて食わせます。1秒にハンドル1回転以下を目安にします。
- デイゲーム（昼）: **「ファストリトリーブ（速く巻く）」**が有効です。視覚が効く日中は、ルアーをゆっくり見せると偽物だと見切られるため、速い動きでリアクションバイト（反射食い）を誘います。
3. ドリフト（流れに乗せる）
河川や潮の流れがある場所では、ルアーを無理に泳がせるのではなく、**流れに乗せて漂わせる「ドリフト釣法」**が極めて有効です。
上流側にキャストし、糸ふけを取る程度にゆっくりと巻きながら、死にかけた小魚が流されていく様子を演出します。最も自然なアピール方法であり、警戒心の高い大型シーバスに効果的です。
【餌釣り編】初心者におすすめの仕掛けと釣り方
「ルアーでどうしても釣れない」「まずは1匹釣ってみたい」という場合は、餌釣りが確実な選択肢となります。
電気ウキ釣り（夜釣り）
夜間に発行する電気ウキを使い、青イソメを餌にして漂わせる方法です。
シーバスは夜になると表層付近に浮いてくるため、ウキ下（タナ）を1m〜2m程度と浅く設定し、堤防の際や常夜灯の周りを流すと高確率でアタリがあります。合わせ（フッキング）は、ウキが完全に沈んでから一呼吸おいて行うのがコツです。
泳がせ釣り（ノマセ釣り）
現地で釣った生きたアジやイワシを針に掛け、そのまま泳がせて大型シーバスを狙う方法です。
食物連鎖を利用した釣り方で、違和感なく食い込ませることができます。餌となる小魚が回遊している時期に非常に有効です。
季節別（シーズナル）パターン攻略法
シーバスは季節によって捕食する餌（ベイト）が変わり、居場所も変化します。時期に合わせた釣り方を実践することが成功への近道です。
| 季節 | 主なベイトパターン | 攻略のポイント |
| 春（3月〜5月） | バチ抜け・マイクロベイト | 産卵から戻ってきた体力の低い個体が多いため、動きの遅いゴカイ（バチ）や稚魚を捕食します。細身のシンキングペンシルを使い、表層をゆっくり引くのが鉄則です。 |
| 夏（6月〜8月） | イワシ・イナッコ | 水温上昇により、酸素量の多い流れのある場所や河口部に集まります。活性が高いため、日中のバイブレーション早巻きや、トップウォーターが有効です。 |
| 秋（9月〜11月） | コノシロ・落ち鮎 | 冬の産卵に向けて荒食いをするハイシーズンです。大型のベイトを捕食するため、12cm以上の大型ミノーやビッグベイトでランカーサイズが狙えます。 |
| 冬（12月〜2月） | アミ・ハゼ | 産卵のために深場へ落ちるか、深場でじっとしている時期です。ボトム付近をワームやバイブレーションのリフト＆フォールで丁寧に探る必要があります。 |
シーバス釣りに適した場所（ポイント）の選び方
シーバスは「ストラクチャー（障害物）」と「流れ」に依存する魚です。以下のポイントを重点的に狙います。
1. 河口・河川（リバーシーバス）
淡水と海水が混ざる汽水域は、シーバスが最も好むエリアです。特に橋脚の周りは、光の明暗（街灯の光が当たっている部分と影の部分の境目）ができやすく、シーバスが餌を待ち伏せする一級ポイントとなります。影の中にルアーを流し込むようにキャストします。
2. 港湾部・堤防
潮通しの良い堤防の先端や、常夜灯の下、岸壁の際（キワ）がポイントです。特に岸壁沿いは、カニやエビなどが多く、シーバスがタイトに付いていることが多いため、足元でヒットすることも珍しくありません。テクトロ（岸壁沿いを歩きながらルアーを引く）も有効です。
まとめ
シーバスの釣り方は、状況に応じた「合わせ」が全てです。
- ルアー釣り: まずは表層から探り、夜はゆっくり、昼は速く巻く。
- 餌釣り: 夜間の電気ウキ釣り（青イソメ）が最も手堅い。
- 季節: 春はバチ抜け（表層・スロー）、秋はイワシ・コノシロ（大型ルアー）を意識する。
釣れない時は、ルアーの色や種類を変える前に、まずは「レンジ（深さ）」と「巻き速度」を変えてみてください。魚の目の前に、適切なスピードでルアーを通すことができれば、シーバスは必ず反応してくれます。
FAQ
Q1. 夜釣りの方が釣れやすいですか？
はい、一般的にシーバスは夜行性であり、警戒心が薄れる夜間の方が釣りやすい傾向にあります。特に初心者の場合、夜間に常夜灯周りや橋脚の明暗部を狙うのが、最初の一匹への近道です。
Q2. 全く釣れません。何が原因でしょうか？
最も多い原因は「巻き速度が速すぎること」と「魚がいないレンジを引いていること」です。特に夜間は、ルアーが泳ぐ限界の遅さで巻くことを意識してください。また、場所選びでは「ベイト（小魚）」がいるかどうかが最重要です。水面を観察し、小魚の気配がない場所は早めに見切って移動（ランガン）しましょう。
Q3. 「反則級に釣れる」と言われるルアーはありますか？
「コアマン VJシリーズ（バイブレーションジグヘッド）」や「ダイワ セットアッパー」などが有名です。特にVJシリーズは、ワームの食わせ能力とバイブレーションのアピール力を兼ね備えており、スレた魚も口を使うため「エサより釣れる」と評されることもあります。
Q4. 餌釣りで最強の餌は何ですか？
入手しやすさと釣果のバランスで言えば「青イソメ」が最強です。動きと匂いでアピールします。大型狙いに特化するなら、現地で釣った生きアジやイワシを使った泳がせ釣りが最も実績があります。